メタル・アンド・テクノロジー株式会社炭素添加アルミニウム合金のページ。炭素添加で低炭素社会を実現する高強度・高電導を実現した炭素添加銅です

炭素添加アルミニウム合金

1. 炭素添加アルミ二ウム銅合金開発の背景

開発の背景

近年、地球温暖化などの環境変化を背景として省エネルギー、省コスト、CO2排出削減などの社会的要請により動車や鉄道車両の軽量化に貢献するための新たな構造材の開発が急務となっています。
従来から、鉄以外の非鉄金属に炭素を添加することは困難でしたが、筑波大学名誉教授大嶋建一氏と当社のパートナー企業である株式会社白金との協力により、「鉛フリーはんだ合金」「純銅」への炭素添加に成功し、機械的強度を向上させることで特許を取得しています。
この度、この技術を発展させ、「アルミ二ウム銅合金」に炭素粒子を添加し均質に分散させることで、アルミ二ウム銅合金の組織を微細化させることに成功いたしました。この結果、機械的な強度の向上が期待出来ます。
当社は、現在、「炭素添加アルミ二ウム銅合金」に関する特許を株式会社白金と共願しています。

弊社代表伊藤と筑波大学大嶋名誉教授(弊社取締役)筑波大学にて
<弊社代表伊藤と筑波大学大嶋名誉教授(弊社取締役)筑波大学にて>

2. 炭素添加アルミ二ウム銅合金の特徴と組織構造

炭素添加アルミ二ウム銅合金の特徴

機械的強度、伸展性の向上が期待できる。
アルミ二ウム銅合金に炭素を添加することにより、鉄に炭素を加えた炭素鋼と同様に機械的強度、伸展性が改善し、さらに耐腐食性が向上することが期待されます。万能材料試験機を用いて引張強さを測定した結果、炭素添加合金の引張強さは無添加合金の倍以上となり、また、代表的なアルミ二ウム合金ジュラルミンA2017(※補足資料)も同等の値となることが判りました。前述の事実から、炭素を添加することにより単純な組成で、大幅な強度の向上が確認されています。炭素添加合金の強度が上昇するのは組織の微細化が起こることによって力を加えた際に、微細な組織が抵抗となるからであると考えています。

炭素添加AlCu5%合金の組織構造と強度

SEMにて炭素無添加AlCu5%と炭素添加AlCu5%C0.3wt%との合金の組織表面の観察を行ったところ、当社開発のアルミニウム銅合金は炭素の添加によって組織が微細化することが判りました(図1)。
そこで、炭素が組織の微細化にどのような影響を及ぼしているかを調べるため、AlCu5%C0.3%合金の炭素の分布状態をX線マイクロアナライザー(XMA)を用いて、各元素のカラーマッピング像を撮影しました。その結果、炭素が組織全体に均一に分散していることが観測されました(図2(C))。炭素添加により、合金の組織の成長が妨げられ、組織の微細化を引き起こしていると推測されます。

図1:合金組織表面の比較

AlCu5%C0.3wt%合金はAlCu5%に比べ、アルミ二ウムと銅の合金部分である灰色の部分が増え、組織が微細化されています。

(a) AlCu5%(炭素なし)
(a) AlCu5%(炭素なし)
(b)AlCu5% C 0.3wt%
(b)AlCu5% C 0.3wt%

図2:AlCu5%C0.3wt%のEPMAによるカラーマッピング写真

炭素がアルミ二ウムの相とアルミ二ウム銅合金の相にそれぞれ均一に分散しています。炭素の添加により、相の成長が阻害され、アルミ二ウム銅合金の組織が微細化し、強度が上昇していると推測されます。

シンプルな組成で製造コストダウンが期待できる。
シンプルな組成で製造コストダウンが期待できる。 実用材料のジュラルミン(A2017)やAC2Aをはじめとするアルミ二ウム合金はそのほとんどに銅を含みますが、さらにマグネシウムやマンガンなどの非鉄金属も含んでいますので、組成が複雑なために製造が難しくコストがかかります。一方、「炭素添加アルミ二ウム合金」はアルミ二ウム、銅、炭素のシンプルな組成にもかかわらず従来品と同等かそれ以上の機械的強度が期待できます。

3. 今後の展望

今後の研究開発

AC2Aなどの既存のアルミ二ウム合金への炭素添加を実施
炭素添加技術を自動車のエンジン部品等に使われているアルミニウム合金AC2Aへと応用する事に成功しており、炭素添加によって強度が改善することがわかりました。この技術を更に高度化し、すでに流通しているAC2Aに対して炭素添加量および熱処理条件の最適な組み合わせを見出し、低コストで信頼性の高い高強度アルミ二ウム合金の開発を目標に、現在研究開発を行っています。
この研究開発は経済産業省中小企業庁の行っているH27年度戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)の採択を受け、2年後をめどに、炭素添加AC2Aの開発、事業化を図っています。

想定される利用範囲

「炭素添加アルミ二ウム銅合金」の高強度、高伸展性の特徴を活かし、自動車の構造材やエンジン部品などに使用されているアルミ二ウム合金を代替し、軽量化に貢献することを目指しています。
また、自動車以外の船舶や鉄道車両などの輸送機器、アルミサッシやアルミ箔などアルミ二ウム合金が適用される様々な用途において、当社の「炭素添加アルミ二ウム銅合金」が強度を向上させる素材として活用されることを目指していきます。

補足資料

A2017
切削加工性、強度に優れた熱処理型のアルミ合金で、ジュラルミンの名称でも知られます。
Cu(銅)を含むアルミ二ウム合金は強度が高く、加工性(塑性加工)は低くなる傾向があります。
強度面では、環境によっては鉄鋼材料に匹敵しますが、溶融溶接性や耐食性には他のアルミ二ウム合金に比べてやや劣る傾向にあります。航空機や油圧部品等に使われています。

A2017(アルミニウム)の成分
合金番号 Si Fe Cu Mn Mg Cr Zn Ga,V,
Ni,B,
Zr等
Ti その他 Al
個々 合計
A2017 0.20から0.8 0.7以下 3.5から4.5 0.40から1.0 0.40から0.8 0.10以下 0.25以下 - 0.15以下 0.05以下 0.15以下 残部

AC2A
鋳造性のよさで知られるアルミ二ウム鋳物で、合金としてはCuとSiをベースとしています。
銅を含むことから、含まないものに比して耐食性にはやや劣ります。ラウタルとも呼ばれ、引張強さにも優れています。
一般用として使われる種類の材料です。用途としては、マニホールド、デフキャリア、ポンプボデー、シリンダヘッド、バルブボディ、クランクケースなどがあげられます。

AC2Aの成分、元素(アルミ鋳物の材質)
合金番号 Cu Si Mg Zn Fe Mn Ni Ti Pb Sn Cr Al
AC2A 3.0から4.5 4.0から6.0 0.25以下 0.55以下 0.8以下 0.55以下 0.30以下 0.20以下 0.15以下 0.05以下 0.15以下 残部